カイコを材料にして、これまでabd-Aの発現が腹脚の発生に必要であることを示した。本研究でカイコ胚でのDllの発現を調べたところ、腹脚原基の先端部で発現していることを確認した。これはabd-Aによる抑制は受けないものの、Dllが発現することにより腹脚の発生が誘導される、というこれまでの説をおおむね裏付けているように思われた。そこで、腹脚形成へのDllの関与を検討するために、Dllのノックダウンを行ったところ、正常な腹脚が発生し、先端構造が欠損することはなかった。これらの結果より腹脚の形成おいても胸部体節同様の位置情報分子メカニズムを利用していると考えられ、腹脚は付属肢であることが示唆された。
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