研究課題
小笠原諸島周辺の海域は、従来の日本海藻相区分にあてはめにくい特異な海藻相を有する。本研究は、この海域の特性を明らかにすることを目的に、ドレッジ調査を行って深所性海藻相を調べるもので、本年度は平成27年7月に父島近海でドレッジ調査を行うべく小笠原へ向かった。しかしながら、台風11号の接近により、同船の使用ができなくなり、やむなく現地調査を断念し、本年度はこれまでに集積した資料を観察・解析し、小笠原の深所性海藻相の特性について検討した。その結果、小笠原諸島にみられる深所性海藻相は日本列島とは関連性が薄く、独自の、あるいは南太平洋に類似することが判明した。浅所では海流によってつねに海藻種の流入が起こりうるのに対し、おそらく海洋島の深所では海流による他所からの海藻種の移動が起こりにくく、古くからの海藻相が安定して維持されているものと考えられた。また、ドレッジによるものではないが、父島沿岸から得られた試料から、日本新産種となる海産紅藻Callithamniella tingitana (Schousboe ex Bornet) Feldmann-Mazoyer が見いだされたので、形態を観察して報告した。この海藻は太平洋新産でもあり、小笠原の海藻相の特殊性を示す1種である。
(1)日本の海藻全種を網羅した海藻リスト。本研究により小笠原諸島で得られた新種・日本新産種も随時追加・更新している。
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Bulletin of the National Museum of Nature and Science, Series B
巻: 41 ページ: 147-153
http://www.tbg.kahaku.go.jp/research/database/seaweedworld/html/index/index2.html