小笠原諸島の深所における海藻相を解明するためにドレッジ調査を行い、40m以深の海底から28種(アオサ藻6種、褐藻12種、紅藻10種)の海藻を採集した。そのうち1種は日本新産種、2種が新種、16種が種名不明種で、多くが日本列島に分布しないものであった。とりわけ日本新産となった褐藻タマクシゲが褐藻で最も祖先的な種で稀産ながら世界的な分布をもつことや、新種となった褐藻ラホツミドロ(新称)と紅藻スジアリグサ(新称)も同属の近縁種が南太平洋に分布することから、小笠原の深所性海藻相は日本列島との関係が薄く、従来の海藻相区分にあてはまらないことが明らかとなった。
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