研究課題
AFLP法によって明らかになった自然種間交雑の多く見られる種間(A種とB種)に形成された雑種について,定量的な試料採集を行い,合計279個体についてSTRUCTURE,NewHybrids,DAPCに基づき雑種クラス判別を行った。その結果,131個体のF1雑種,18個体の戻し交配第一世代(BC1)雑種が見つかり,両種間で自然下で大規模な交雑現象が起きていることが明らかになった。また,F1雑種の母系をmtDNAの塩基配列に基づき調べたところ,A種を母系とするものが32個体,B種を母系とするものが99個体と,大きな差があった。また,BC1個体のうち17個体はA種に,残りの1個体はB種に戻し交配しており,種間交雑による遺伝子流動はB種からA種方向へ偏って起きていることが示唆された。遺伝的にA種と判別された119個体のうち2個体でB種由来のmtDNAの異種間浸透が起きていた。遺伝的に区別された純粋なA種とF1間で,外部形態を比較したところ,8測定項目において有意差が認められた。これらの測定項目に基づく主成分分析,正準判別分析,DAPCを行ったところ,99%以上の確率で外部形態からF1雑種を判別できることが示された。また,戻し交配個体の外部形態データを同様に解析したところ,純粋なA種やF1に比べて,主成分プロットの分散が大きくなっていることが示された。このことから,両種間の交雑とそれに伴う種間の遺伝子流動が,戻し交配世代において超越分離をもたらし,A種の遺伝的,形態的多様性に貢献している可能性が示唆された。
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