研究課題/領域番号 |
25440230
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
廣瀬 忠樹 東北大学, 生命科学研究科, 名誉教授 (90092311)
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研究分担者 |
彦坂 幸毅 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (10272006)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 葉群動態 / 平均滞留時間 / 寿命 / 光合成 / 窒素 / 葉面積 / 群落密度 / オオオナモミ |
研究概要 |
植物群落は陸域生態系の一次生産の単位である。一次生産は葉の光合成によって支えられる。群落内で,新しい葉は群落上部に形成され、下位葉は被陰される。被陰された葉は老化が進行し、枯死落葉にいたる。このような葉群の動態に窒素や光環境が与える影響を、新たに開発された平均滞留時間のモデルを用いて解析することを目的に研究を行っている。 一年性雑草オオオナモミと作物イネを用いて実験を行った。オオオナモミは密度を2段階に変えて群落を育成し、群落内光環境の違いが植物の成長と葉の動態に与える影響を解析した。イネは施肥を2段階に変えて、窒素条件がイネの成長と収量および分げつと葉の動態に与える影響を調べる実験を行った。今年度はオオオナモミについて解析を進めた。 成長解析:成長速度を純同化速度と葉面積の積として解析したところ、低密度に比べ高密度で、純同化速度は小さく、葉面積は大きかった。成長速度は低密度で大きい傾向はあったが有意ではなかった。 繁殖収量:繁殖収量を果実数と1果実重の積に分けて解析すると、果実数は低密度で多かった。1果実重に有意差はなく、収量は低密度で大きかった。低密度で果実数が多かったのは分枝により花芽数が増えたためと思われる。生産種子の窒素量に有意差がなかったので、低密度で乾燥重が大きかった分、種子の窒素濃度は低下した。 葉群動態:生産葉数は主軸葉で差はなかったが分枝葉では低密度で多かった。低密度に比べ高密度で生産葉面積と葉窒素は主軸で大きく、分枝で小さかった。葉数と葉面積の平均滞留時間は主軸、分枝ともに低密度で大きかったが、分枝葉は有意ではなかった。低密度に比べ高密度で、葉重と葉窒素の平均滞留時間は、分枝では大きかったが主軸では有意差はなかった。低密度で分枝により多くの葉を着けるものの、葉面積への寄与は大きくない。平均滞留時間も小さいが、繁殖収量への寄与は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オオオナモミ密度実験、イネ施肥実験は完了していること。オオオナモミについては試料分析、データ解析は完了。イネの試料分析と剰余生産の推定を除き、当初予定通り。
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今後の研究の推進方策 |
オオオナモミ群落実験については、剰余生産の推定。成長と繁殖、葉群動態に関する論文執筆の準備。イネについては試料分析、データ解析を実施(以上平成26年度)。最終年度はイネを含め論文執筆、投稿。
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