草本植物では、隣接個体と高さを同程度にしようとする伸長調節がはたらいている(背揃い)。操作実験により、隣接個体との高さの差が数cm違うだけで伸長速度が変化する。同様の伸長調節が森林樹木でも機能しているか否かを明らかにするため、30年生アカエゾマツ林において、隣接個体を地際から伐採する区(皆伐区)と隣接個体の最上部を2m切断する区(上切り区)を作製し、その後の成長を追った。その結果、皆伐区の個体は伸長成長が鈍り、隣接個体の存在が伸長速度に影響していることが明らかとなった。一方、上切り区の個体の成長はコントロールと差がなく、上を2m切った程度では成長への影響が小さいことが明らかとなった。
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