研究課題/領域番号 |
25440237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
岡崎 純子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (20195332)
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研究分担者 |
植松 千代美 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (30232789)
山下 純 岡山大学, その他部局等, 助教 (20432627)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 絶滅危惧種 / マチン科 / 光環境 / 里草地植物 / 保全 / フェノロジー / 個体数変動 |
研究概要 |
都市近郊の森の博物館大阪市立大学理学部附属植物園内で発見された大阪府絶滅植物アイナエ(マチン科)の保全のために近畿についての標本庫の標本からの分布調査、野外での遺伝的多様性・生活史特性・および生育に適した環境条件の解明を目指して研究を進めた。25年度は特にアイナエの生活史と生育環境についての研究を中心に行った。生活史については、本年度はフェノロジーと交配様式を調査した。交配様式については近畿の自生4集団での比較を行い、生育環境については植物園内で光環境の測定・個体数調査を行った。その結果以下のことが明らかになった。1) アイナエは5月下旬からその実生が出現し8月下旬から開花結実を開始した。結実率は調査4集団で平均38.2%、袋がけ実験からは自家和合性であることも明らかになった。2) 出現頻度と光条件とは関連が認められ,この種の生育には光条件が良いことが必須であることが判明した。3) 植物園では本種の開花前の7月~8月上旬に機械による草刈りが数回実施されているが、個体数調査からはアイナエ個体群の変動にはこの影響はほとんどなかった。これらのことから、アイナエ個体群の維持にはフェノロジーから明らかになった8月中旬以降の開花結実期に影響を与えない時期の現在の草地管理がアイナエの生育・繁殖を助長していることが判明した。遺伝的多様性については現在実験を継続中である。標本庫調査は大阪自然史博物館、鹿児島学博物館等で標本調査を行いその結果分、大阪では2000年以降、新たに2ヶ所で採集されていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的とした生活史と生育環境については、概ね予定通り観察解析が進展終了した。また各地からの種子の採取も順調であり現在発芽特性実験を継続中である。ただし野外調査と発芽特性の実験に時間がとられたため遺伝情報とSSR解析については、現在葉の採集、DNA抽出までの行程が終了したところである。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年は以下の4点の計画を実施する。(1) 系統解析および集団の遺伝的多様性解明のためにDNAプライマーの有効性を検証しそのDNA遺伝子座を用いて集団間の系統解析および植物園集団での遺伝的多様性を評価する。(2)有効なプライマーが見つからなかった場合でもその交配システムが解明できるように野外集団で交配実験を行い交配様式を推定する。(3) 前年度に採取した野外数集団からの種子を用い、段階温度法実験を継続し発芽特性を明らかにする。さらに秋の結実時期には反復実験用に各地から種子の採取を行う。(4)植物園に設置したコドラート内でのアイナエの出現頻度と光環境・水分環境測定を継続して行い、平成25年度の結果と合わせ、生育環境条件と出現個体数との関連性を明らかにする
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は共同研究者山下が学会発表に参加予定であったが所属大学の所要のため学会参加ができなくなったこととDNA分析実験のプライマー購入が遅れたために薬品購入費と旅費が残った。 次年度にはDNA実験よる系統解析を精力的におこなうためその薬品購入にあてる。
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