本研究の目的は,温度較差反応が地上で蛹化する昆虫の羽化時刻決定にも使われているのかどうか,羽化リズムだけでなく孵化リズムにも関わっているのかどうかを検証することにある。地上で蛹化するキイロショウジョウバエとカイコガでは、較差が小さいほど羽化が早くなることが明らかになった。これらの事実は、この反応が単に地中の特異な温度環境に対する適応というよりも羽化時計が本来持つ特性であることを強く示唆している。 孵化リズムについてもヒメギス類を対象に温度較差反応の有無を検討したが、孵化率が悪く、十分なデータが得られなかった。
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