本研究では、乾燥地の不規則かつ集中的な降雨に対するメスキートの種子発芽応答と、この過程におけるシード・ガムの生態的意義の解明を目的とした。 解剖学的解析から、メスキートの種子は典型的なマメ科の内部構造をもち、種子の膨潤過程で、種皮最内層の柔組織様細胞群が溶解し、ゲル様のシード・ガムとなることが明らかになった。また植物の一般的な永久萎凋点より低い浸透圧条件下でも発芽率が良好で高い乾燥耐性を示すとともに、シード・ガムが種子内部での水平衡の調節と実生成長のための成長基質の貯蔵に役立っていることが示唆された。
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