哺乳類の体毛は一般に地味な茶褐色である。しかし、東南アジアに生息するフィンレイソンリスは、白色、黒色、赤色などの目立つ色彩である。毛色の生態的意味として、同種内の社会的シグナル、近縁種との識別シグナルとして働いている可能性の2点を検証した。体毛を採取し、体重、性別、季節変化および加齢変化を調査した。その結果、体色は個体差が認められたが、これら要因との関連性は無く、毛色が社会的状況で機能する可能性は低いことが示唆された。飼育環境下で色識別試験を行なったところ、同所的に生息する近縁種2種の毛色に対してフィンレイソンリスの黒、白、橙色が識別可能であり、体色が種識別に機能する可能性が示唆された。
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