研究課題/領域番号 |
25440250
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
川久保 善智 佐賀大学, 医学部, 助教 (80379619)
|
研究分担者 |
百々 幸雄 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (50000146)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 頭蓋形態小変異 / 小児人骨 / 日本列島住民 / 縄文時代 / 弥生時代 |
研究概要 |
本研究の目的は、日本列島各地の縄文時代と弥生時代の遺跡から出土した人骨のうち、これまでほとんど研究対象とされてこなかった小児人骨資料の頭蓋形態小変異を調査し、発育変化や集団差を明らかにして、それらを引き起こした要因を特定することである。頭蓋形態小変異とは前頭縫合や頬骨横縫合残存、眼窩上孔の有無、舌下神経管二分、顎舌骨筋神経溝骨橋形成といった、一般的に骨計測法では表現しにくい形態について、その有無で分類する局所的な変異の総称である。先行研究では、頭蓋形態小変異の出現率に人類集団間で地域差があることや、環境的な要因だけではなく、遺伝的な要因も強く関わっている可能性が示唆されている。そのため、頭蓋形態小変異から日本列島住民のポピュレーション・ヒストリーを解明しようとする試みが数多く行われてきた。しかし、これらの研究のほとんどは、成人骨を対象としたものであり、頭蓋形態小変異の成長・発育における変化や、小児人骨における集団差について、ほとんど明らかにされてこなかった。小児人骨を対象とすることで、これまで曖昧なまま残されてきた頭蓋形態小変異の成長・発育変化を明らかにし、どの頭蓋形態小変異が系統を論ずるのに相応しいのかを見極めたい。頭蓋形態小変異の研究では出現頻度の比較を行うため、可能な限り数多くのデータを収集する必要がある。そのためには、古人骨資料が収蔵されている全国各地の大学や博物館、埋蔵文化財センター等の研究機関で調査を行わなければならない。2013年度は東京大学や京都大学、国立科学博物館、伊達市噴火湾文化研究所に収蔵されている縄文時代の小児人骨資料のデータ収集を重点的に行った。遺跡から出土した古人骨は遺存状態が悪いものが多いため、比較資料として近現代の小児人骨資料の調査も併せて行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの収集は当初予定していた順序から若干の変更はあったものの、順調に進んでいる。はじめの計画では2013年度に西日本の遺跡から出土した縄文時代と弥生時代の資料調査を行う予定だったが、西日本にかかわらず全国の縄文時代の人骨資料の調査に重点を置いた。これまで調査した資料には、未成人骨が成人骨に比べて古人骨の研究分野ではあまり注目されてこなかったこともあり、発掘後、クリーニングや修復などの整理が十分に行われていないものが数多く含まれていた。しかし、頭蓋形態小変異は頭蓋計測に比べて保存状態が悪くても観察できる場合が多いという利点があり、今回の調査でも、それほどデータ収集の障害にはならなかった。2014年度は弥生時代人骨の調査も行う予定である。また、縄文時代人骨についても追加の調査を行い、データの充実を図りたい。
|
今後の研究の推進方策 |
2013年度に引き続き、全国各地の研究機関に収蔵されている縄文時代と近現代の人骨資料のデータを収集する予定である。また、弥生時代人骨資料の調査にも着手する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた主な理由は旅費が当初の予定より少なかったためである。資料調査に行った京都大学では大学の宿泊施設を利用できたため、宿泊費が安くなった。 次年度使用額は26年度請求の研究費と合わせて主に調査のための旅費として使用する予定である。
|