頭蓋形態小変異の出現要因を特定するためには、様々な時代や地域、年齢層の集団を対象とした調査が必要である。しかし、従来の頭蓋形態小変異の研究資料は成人骨に偏っており、発育変化という視点からの研究があまり行われてこなかった。そこで、本研究では日本列島各地の縄文時代から現代までの314例の未成人骨を調査し、23の頭蓋形態小変異について観察が可能になる年齢や系統差の有無を検討した。異なる年齢層や時代のグループを比較した結果、未成熟個体の頭蓋形態小変異には成長による変化が大きくかかわっているものの、縄文系、弥生系といった系統間の違いも含まれている可能性が示唆された。今後もさらなる調査が必要である。
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