研究課題/領域番号 |
25440254
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
檀上 稲穂 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (30415228)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 南米 / 先住民族 / ゲノム / コピー数多型 / SNP / 適応 |
研究概要 |
鹿児島大学 園田俊郎教授(2005年に退官)と愛知がんセンター 田島和雄研究所長(2013年に退官)らは疫学調査のために20年以上の年月をかけて世界中の辺境地域に居住する少数民族約3,500個体から血液サンプルを採取した。この中には、サンプル採取後に滅亡した民族や部族も含まれ、また、外部との接触が極端に少ないことから外部からの遺伝的影響が少ないと考えられており、質・量ともに、同等のサンプルは二度と採取することができない世界的にも貴重かつ希少なコレクションである。報告者らはこのコレクションの中の南米先住民族29部族約550個体からB細胞株を樹立し、この細胞株を用いて南米先住民族の環境適応に関わるゲノム領域を探索することを計画した。南米先住民族の居住地は、高地であったり主食となる植物に毒性があるなど、他の大陸での居住よりも過酷な選択がかかっていると考えられる。このような環境適応を明らかにすることで、南米における人類の移動や定住のプロセスが明らかになると期待される。 標的とするゲノム領域としてコピー数多型(CNV)を、環境として高地と毒性食物を摂取する低地を想定している。本年度ではコピー数多型を解析するための検体の選定を進めた。全ゲノム70万箇所のSNPデータを用いて血縁個体を排除し、部族間類縁関係を明らかにすることで南米部族をグループ分けし、各グループで典型的なSNPパターンを保持する個体を選定した。当初計画では本年度中にCNV解析のためのアレイCGHデータを取得する予定であったが、部族内、また部族間のhomogeneityが当初の想定以上に高く血縁の排除に時間をかけることになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
南米部族を高地グループと低地(毒性食餌)グループに分類し、各グループで典型的なゲノムパターンを持つ個体を選定する過程で、血縁関係のある個体をグループから除外することが必要であった。このために血縁解析を行ったところ、部族内、また部族間のhomogeneityが当初の想定以上に高く血縁個体の排除に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度でCNV解析の対象となる個体の選定は終了した。次年度以降は、これらの個体についてCNV解析を行い、環境適応に関わるゲノム領域の探索を開始する予定である。解析個体の選定のところで当初予定から若干の遅れがあったが、血縁解析が難航している間にもCNVの検出方法うや評価方法に関する予備的な実験の条件検討も平行して進めており、今後の研究は当初予定よりもスピードアップでき、今年度での遅れを挽回できる可能性は十分にあると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
南米部族を高地グループと低地(毒性食餌)グループに分類し、各グループで典型的なゲノムパターンを持つ個体を選定する過程で、血縁関係のある個体をグループから除外することが必要であった。このために血縁解析を行ったところ、部族内、また部族間のhomogeneityが当初の想定以上に高く血縁個体の排除に時間がかかった。このため、CNV解析のための実験の開始が遅くなり、当初予定していたペースでプラスチック消耗品およびTaqManスクリーニング用試薬類を購入することができなかった。 CNV解析の標的となる個体の選定が終了したことから、次年度の早い段階で、前年度分の実験を進める予定である。
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