研究課題/領域番号 |
25440255
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中里 未央 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 客員研究員 (00380973)
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研究分担者 |
清水 悠路 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40569068)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / ヒト肝細胞増殖因子 / 頸動脈内中膜複合体厚 / 心臓足首血管指数 / 離島 / 生活習慣 |
研究概要 |
平成25年度に五島市で行った住民基本健診の受診者のうち、文書による同意の得られた参加者325人を対象にデータとサンプルの収集を行った。血液検体は、血球成分と血清、血漿に分離し、後の分析に備えて-30℃に保存した。マルチサスペンジョンアレイを使い、平成26年3月31日現在、76検体についてhHGFの測定が終了した。また、当研究参加者全員に対して年齢、性別、身長、体重、末梢血造血幹細胞(CD34陽性細胞)数、血算、一般血液生化学検査、尿検査を行った。さらに、動脈硬化の臨床的評価を目的として、頸動脈超音波検査と心臓足首血管指数(CAVI)の測定を行い、中心血圧測定装置を用いて中心動脈圧の推定値を算出した。食習慣や趣向歴、運動習慣、病歴などの生活習慣や既往歴については、対面のアンケート形式で調査し、得られたデータをデータベースに入力した。 平成25年度の調査・研究によって、血管内皮細胞修復能の指標である末梢血造血幹細胞(CD34陽性細胞)数と推定一日尿中ナトリウム量の間に有意な正の相関関係があることを突き止め学術雑誌で報告した(J Gerontol Geriat Res 2014;3:2)。この結果は、食塩摂取量と相関関係があることで知られる推定一日尿中ナトリウム排泄量が内皮細胞障害と関係するため、その修復を目的として末梢血造血幹細胞が動員されていることを示すものであり、hHGFが血管損傷の指標になる可能性が示唆され、本研究課題の仮説を指示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに健診は実施されており、毎年200サンプルの調査計画を立てていたが、すでに初年度において325人のサンプルを得ることができた。さらに、平成25年度に得られたデータを活用し、関連する学術雑誌において論文発表を行うことができた。しかしながら、平成25年度末におけるhHGFの測定件数が76検体と少なく、今後データの拡充が望まれる。hHGFの測定に関しては、マルチサスペンジョンアレイによる学内の測定体制を構築するのに時間を要したことから、測定開始時期が遅くなったため十分なデータ収集ができなかった経緯がある。平成25年度末にはhHGFの測定体制、測定方法ともに確立しており、順調に測定されていることから、今後は検体処理とデータの拡充が進むものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
五島市が実施する特定健診と連携した研究体制は平成26年度以降も引き続き維持するが、平成26年度からは新たに開設した予防医科学研究所の協力を得て研究人員を増員し、また、研究フィールドを拡大してデータ・サンプル数を増やす予定である。平成25年度においては当初計画を超えるデータ・サンプル数を確保することができたが、平成26年度以降はマルチサスペンジョンアレイによる測定方法が確立されたため、蓄積されたサンプルを活用してさらにデータの拡充を進める予定である。こうした研究規模の拡大と平行して、hHGFとCIMTやCAVIなどの動脈硬化データとの解析についても開始する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
hHGFを測定するためのマルチサスペンジョンアレイの導入が遅れた上に、測定体制と測定方法を確立させるのに時間を要したため、測定開始が遅れてしまった。また、各種の関連因子は、まとめて測定した方が効率的であるため、血液サンプルを蓄積しておいて一括して測定を進める計画に変更した。 平成26年度以降に研究対象と研究フィールドを拡大させる予定であり、研究員の旅費の増額を計画している。また、新たに収集したサンプルに保存している血液サンプルを合わせて関連因子の測定を進めるため、測定に伴う支出の増額を計画している。また、こうした研究規模の拡大と平行して、hHGFとCIMTやCAVIなどの動脈硬化データとの解析についても進める予定である。
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