研究概要 |
本研究では(1)反響定位(エコロケーション)に最適な放射音の条件を明らかにすること、(2)その反響音を用いた訓練プログラムを作成し、反響定位確立の程度と訓練の関係を明らかにすることを目的としている。 平成25年度は実験セットの構築と放射音に対する反響定位特性の研究(周波数特性)を行った。実験セットは、無反響ハウスの作成、吹鳴装置、音記録装置の構築である。ハウスは幅138cm×高さ186cm×奥行き366cmで、壁及び天井部分はエコボードに吸音マット(SONEX)を貼り、床は板材に防音シートと吸音マットを敷いた。更にハウス全体を遮音カーテン(シュティーレ、川島織物)で覆った。遮音効果は0.1, 0.5, 1, 10kHzで各6, 15, 30, 37dbA, 白色雑音で30dbAであった。吹鳴装置は制御用PC(MacBookPro)、オーディオインターフェース(FireFace UFX)、パワーアンプ(AMP53)、スピーカ(TD510ZMK2)で、記録装置はペアマイク(M50 MATCHED PAIR)とFireFaceで構成した。 聴力に支障のない健常成人で試験試行を行った。白色及びピンク雑音、0.25, 1, 2, 4, 8kHz純音をduration 500ms、55dbA(スピーカ前方1m)で吹鳴させた。アルミ板(450×455×1.5mm)をスピーカから0.5, 1, 1.5, 2, 2.4mに置き、各距離で板ありなし各10回計20回をランダム順序で呈示して、板の有無の回答を得た。どの音も距離増大と共に正答率は減るが、白色・ピンク雑音は1-0.8、純音2kHzは0.85-0.45、4kHz0.95-0.6、8kHz0.95-0.45と音で差があった。周波数特性として純音の中では4kHzが定位しやすく、 1kHz以下は定位が困難であることが予想された。
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