前年度に行った高リグナン系統(セサミノール配糖体 (STG)はほとんど含まない)と低セサモリン含有系統(STGを含む)の交雑に由来するF6世代の組換え自殖系統を用いたRAD-seq解析の結果を用いて、ゴマリグナン(セサミン、セサモリン、STG)の総含有量の決定や、各リグナンの生合成や蓄積に関わる遺伝子の同定を試みた。 遺伝解析の結果、セサモリン含有形質は1つの遺伝子により制御されていることが示されている。そこで当該形質の原因遺伝子が存在するゲノム領域を絞り込むためRAD-seq解析の結果を用いて連鎖解析を行った。その結果、1つのSNPマーカー(RADマーカー)が当該形質原因遺伝子と強く連鎖することが示された。続いてこのマーカー近傍の領域に存在する、セサモリンの生合成や蓄積に関わる可能性があると考えられる遺伝子を選び、セサモリン含有個体と低含有個体の間で、遺伝子領域の塩基配列の比較および発現パターンの比較を行った。その結果、原因遺伝子の候補として2つの遺伝子を選抜できた。現在はこれら候補遺伝子について更なる解析を行っている。 STG含有量およびゴマリグナンの総含有量の決定には複数の遺伝子が関わることが前年度までに示されたため、RAD-マーカーおよび当研究室で作成したSSRマーカーを用いて、STG含有形質およびゴマリグナンの総含有量形質に関するQTL解析を行った。その結果、ゴマリグナンの総含有量形質に関してはQTLを検出することはできなかったが、STG含有形質に関しては、少なくとも1つの QTLが見出された。今後はSTG含有形質の原因遺伝子の同定にむけて、このQTL近傍の遺伝子について解析を行うとともに、異なる材料を用いてゴマリグナンの総含有量形質に関するQTL解析を行う予定である。
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