研究課題
オオムギの短芒突然変異体sca遺伝子を六条・長芒・並性”Morex”と六条・短芒・渦性OUM206Aとの交雑F2 262個体、および、二条・長芒・並性HarringtonとOUM206Aとの交雑F2 342個体の2集団を供試しマッピングを行った。両親間で多型のあったSSRマーカーおよびESTマーカーでマッピングした結果、sca遺伝子は3H染色体短腕上のk09032とk03628の間にマップされ、両マーカーからの遺伝距離はともに0.6 cMであった。オオムギ3H染色短腕上のsca遺伝子領域はイネの第1染色体とマイクロシンテニーの関係にあることを利用してマーカーを開発し候補領域の絞り込みを進めた。9個のイネ遺伝子由来の多型マーカーが得られ、Harrigntonとの交雑F2 集団で出現したsca劣性ホモ個体を加えて詳細なマッピングを行った。その結果、独自開発マーカーのSC65023とCA50813でsca遺伝子を挟み込めた。SC65023にはイネ遺伝子LOC_Os01g12740、CA50813にはイネ遺伝子LOC_Os01g13740がそれぞれ対応し、その間のイネの物理距離は0.6 Mbである。その範囲にイネでは123個の遺伝子がアノテーションされており、その中にオオムギsca遺伝子の相同遺伝子があると考えられた。6種類の独自開発マーカーはscaと共分離した。そのうち4種類の遺伝子cytochrome P450、ethylene-responsive protein、OsIAA3、およびhelix-loop-helix DNA-binding domainを、原品種”赤神力”とOUM206Aの間で配列比較したが違いはなかった。未調査の共分離する2遺伝子を含めて上述のイネ対応領域内にはMYB family転写因子やabscisic acid insensitive 8などの候補とみられる遺伝子があり、それらは原因遺伝子の候補とみられる。
すべて 2015
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Genome
巻: 58 ページ: 43-53
Molecular Genetics and Genomics
巻: 290 ページ: 1287–1298