研究課題/領域番号 |
25450012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
久保 貴彦 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教 (00370148)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イネ / 生殖的隔離 / 雑種不稔 |
研究概要 |
イネの“花粉キラー”の分子・生理機構を明らかにすることを最終目標として、原因遺伝子の単離同定と分子ネットワークの解明を目指す。H25年度は、次の3つの研究項目を進めた。(1)栽培イネ亜種間交雑で見出した花粉キラー遺伝子S24の相互作用因子EFSのファインマッピングを進めた。日本晴(japonica)×93-11(indica)の交配に由来するBC4-5Fn集団約3,400個体を用いて、EFS座を約35-kbの領域に特定することができた。この領域に対応する93-11アリルは未知DNA配列を含んでいたため、93-11由来のBACクローンを基にDNA配列の解読を進めた(継続実施中)。(2)S24遺伝子の候補遺伝子として、ANK3(アンキリンタンパク)を特定している。ANK3を含む93-11ゲノム断片をクローニングし、相補性試験のために数十個体の形質転換体を得た。得られた形質転換体は、花粉稔性評価に向けて育成中である。(3)組織的要因を探る目的で、花粉不稔個体に由来する小胞子形成を時系列観察を行なった。減数分裂後の様々な発生段階における小胞子核の形態や小胞子壁の観察を実施したが、特に目立った異常は認められなかった。一方で、電子顕微鏡観察によって、細胞内小器官に異常らしき動態が観察された。今年度の観察標本数は少なかったため、次年度に再観察を行なう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体的には、H25年度の計画に沿って実験を進め、目標を達成することができた。計画外の問題としては、EFSおよびS24の両遺伝子の候補領域について、93-11アリルに~数十kb長の未知DNA配列を含んでいたため、その解読に予定外の時間を費やすことになった。正確な配列情報なしでは次の実験に進められないため、その解読は必要不可欠な行程である。これらの未知配列の解読はほぼ終了するところまで進めた。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度にやり残した未知配列の解読を終え、H26年度の予定どおり、93-11由来のEFSゲノム断片のクローニングと相補性検定を進める。S24についても、形質転換個体の花粉稔性評価を行い、原因遺伝子かどうかの判定を行なう。相補性がなかった場合は、次の候補遺伝子の形質転換を行なう。相補性検定に目処が立ち次第、各原因遺伝子の発現解析やタンパク解析へと発展させる。
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