研究課題/領域番号 |
25450013
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
栂根 一夫 基礎生物学研究所, 多様性生物学研究室, 助教 (50343744)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イネ / トランスポゾン / 突然変異体 / 逆遺伝学 |
研究概要 |
イネの未知遺伝子やゲノム領域の解析にはこれまでにない変異系統の開発が必須である。申請者はイネ内在性の DNAトランスポゾンnDartを同定して解析を行ってきた。nDartの転移は自然栽培条件下で高効率に遺伝子領域に 起こり、機能欠損だけでなく機能獲得型の変異体も得られ、不活化も可能な変異原である。nDartの転移システムを交配によってコシヒカリに導入し、遺伝子破壊系統(nDart-Koshiダグライン)を育成した。そこで既に確立しているnDartの挿入領域決定法を次世代シーケンサー用に改変して利用し、17,000系統を目標に全ての新規挿入領域を明らかにして、高効率で遺伝子やゲノム領域の機能解析を行える系を確立する。本年度は3000系統を育生し、解析を行った。また、光合成能力が欠損した変異体も選抜できたので、解析を行った。アルビノ変異は、光合成や植物の発達に重要な遺伝子に欠損を持っていると考えられるが、通常は枯死してしまうので、解析が難しい。我々はnDartの挿入によってアルビノ変異と正常な緑色の斑を持つ変異体snow white leaf1-varigeted(swl1-v)を生育し結実させることができた。slw1-vの後代からは、nDartが転移しないアルビノ表現型のみを示すswl1-stble変異体も選抜することができる。原因遺伝子を同定したところ、ドメインや機能が全く解析されていない新奇の遺伝子であった。swl1遺伝子のパラログは、ランソウには存在しないがコケから木本植物にまで保存されていることから、光合成に直接関与する遺伝子ではなく、色素体の発達に関与することが予想された。様々な発達段階の植物を用いた解析からSWL1遺伝子のmRNAは、様々な組織で恒常的に発現しているが翻訳段階で非常に厳密に制御されており、葉緑体の発達に従って翻訳される量が上昇し、チラコイド膜の発達に必須であることを明らかにした(Tsugane-Hyashi et al. 2014)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
変異体の育生と挿入領域の同定については、当初の計画通りに行う事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究はおおむね予定通り進行している。しかし、次世代シーケンサーを用いた解析は、新しい技術開発が目覚ましいので、新しい積極的に取り入れる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究に使用している温室のイネの出穂が隣の温室からの補光の影響で遅れていることが判明した。そこで暗幕を設置してサンプルの育生を行ったがサンプルを破砕するチューブの数の決定に時間が掛った。 暗幕の設置で植物の生育は回復したので、破砕用のチューブの数を設定することができた。
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