ダンチク(Arundo donax L.)がC3植物であるにもかかわらず光合成能力が高い理由は,電子伝達能力や炭酸固定効率が高いことと気孔の制約度が小さいことが関与していた.また,光合成に関わるクロロフィル,ルビスコおよび窒素といった葉内成分の単位葉面積あたり含量が高かった.ダンチクは葉が厚く単位葉面積当たり多くの光合成組織を持つことで葉内成分含量が高まったと考えられた.これらのダンチクの持つ特性は,C3型光合成の改善に寄与すると考えられた.ダンチクはイネ同様極めて高い湛水抵抗性を持っており,また作物の中で耐塩性が高いとされているオオムギに比べても相当に高い耐塩性を有することが明らかになった.
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