研究課題/領域番号 |
25450026
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研究機関 | 石川県立大学 |
研究代表者 |
塚口 直史 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40345492)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 水稲 / 登熟斉一性 / 登熟籾生産効率 |
研究実績の概要 |
本研究は籾シンク強度に関与する量的形質遺伝子座(QTL)の探索を目的とする。2014年度は前年度の結果から籾シンク強度の評価法として有望と考えられた登熟籾生産効率について籾シンク強度の異なる品種間で比較するとともに、それと他の形質との間で相関解析を行うことを目的とした。さらに、コシヒカリ/Kasalath染色体断片置換系統群の中で、登熟籾生産効率の高かった系統とコシヒカリを両親とする解析材料、およびモミロマンとタカナリを両親とする解析材料の作成を目的とした。 登熟籾生産効率には品種間差が存在し、籾シンク強度の獲得の早さとの間に一定の関係が認められた。前年度同様、タカナリやKasalathでモミロマンやコシヒカリより登熟籾生産効率が高かった。前年度に引き続き、コシヒカリ/Kasalath染色体断片置換系統群について登熟籾生産効率に関する評価を行った。その結果、第1染色体長腕側、第6染色体短腕側および第12染色体短腕側がKasalath型に置換された系統が昨年同様に高い登熟籾生産効率を示し、これらの染色体領域に登熟籾生産効率を高めるKasalath型対立遺伝子の存在が示唆された。またこれらの系統では開花10日および20日後の粒重分布が2極化することが確認された。上記の3系統をコシヒカリと交配し、F1世代を自殖させF2世代を得た。モミロマンとタカナリについてもそれらのF1世代の自殖によりF2世代を得た。モミロマンとタカナリの間で多型を示すDNAマーカー(SSRマーカー)を全染色体上に90同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
籾シンク強度の評価法に関しては、登熟籾生産効率が安定かつ簡便な評価法と考えられた。品種間およびコシヒカリ/Kasalath染色体断片置換系統群において、前年度有望と考えられた品種・系統が高い登熟籾生産効率を示した。これらの材料を用いて解析材料の作成に着手できた。
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今後の研究の推進方策 |
4つの組み合わせの解析材料が作成できたが、これらは分離世代となるため、今年度は本研究の目的のためには使用できない。したがって、これらの材料に関しては、モミロマンとタカナリのF2を用いてSSRマーカーの連鎖地図作成および遺伝距離の大きいマーカー間のマーカー同定を行うほかは、世代を進めホモ化を進める。評価法についてはより多くの品種を用いてその有効性の検証を行うとともに、他の形質との相関解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
モミロマンとタカナリの間で多型を示すマーカーの探索について、既報のマーカーで十分で想定以上に多型を示すマーカーを得ることができたため、新規に探索するための予算が浮いた。
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次年度使用額の使用計画 |
連鎖地図の作成後、マーカー密度が低い箇所が判明するので、その箇所について、新規に多型を示すマーカーを探索する。
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