研究実績の概要 |
ヤムイモはアフリカなどイモ食文化圏で重要な主食の一つであるが、その増殖率は穀類と比較すると非常に低いため増産や規模拡大が必要な場合、翌年の種イモの需要に全く対応できないのが実情である。本研究では、亜熱帯島嶼の特殊な自然条件下である沖縄の宮古島で、日本国内外で利用可能なヤムイモの大量種苗生産法の基礎技術の確立を行うことを目的とした。 本研究は、東京農大の熱帯作物学研究室のヤムイモ研究グループと連携し、東京農大宮古亜熱帯農場で試験を実施した。研究課題は①挿し木苗の育成に適した環境条件の選抜、②挿し木苗を利用した種イモ・食用イモの栽培方法の確立、および③組織培養を利用した健全種苗の生産体制の確立の3つの課題を柱として実施した。 平成25年度は初年度のため公表できる成果はなかったが、平成26年度はJICAプロジェクトを通じてヤムイモを主食とするフィジーからの研修生を受け入れ、挿し木繁殖技術について指導した。平成27年度は、11月に国際学会(ISSAAS 2015, Tokyo University of Agriculture)で課題①および②におけるこれまでの研究成果をとりまとめて公表した。平成28年度は、11月に国際学会(ISSAAS 2016, Hanoi, Vietnam)で課題①と②の関連で挿し木と種イモ由来の植物体の生育の差異について発表(Evaluation of the growth of water yam plants cultured by seed tuber and vine cutting)した。また、平成28年度3月に日本熱帯農業学会で学会奨励賞を、本研究課題の挿し木繁殖法を用いた「熱帯産ヤムイモ(Dioscorea spp.)の休眠制御を利用したオフシーズン栽培に関する研究」で受賞した。課題③については随時実施した。
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