研究課題/領域番号 |
25450033
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
森下 敏和 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター畑作基盤研究領域, 上席研究員 (30414949)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 普通ソバ / 半矮性 / 遺伝様式 / 近同質遺伝子系統 / 施肥 / 栽植様式 / 収量性 |
研究実績の概要 |
数年前に見いだした半矮性の遺伝様式が単一の劣性遺伝子に支配されていること、dwA、dwB、dwC、dwD、dwFおよびdwFとの対立検定の結果、F1個体のほとんどは野生型であったため、新規半遺伝子であることを明らかにした。この結果は、2014年春の育種学会で発表した。 上記の結果を受けて、過去に報告されている矮性および半矮性遺伝子の栽培特性を明らかにすることを目的として半矮性およびdwA、dwB、dwC、dwD、dwEの近同質系統を作成するためにキタワセソバの戻し交配を行い、BC2F1世代を作成した。 半矮性素材の肥料反応を明らかにするために窒素多肥:5倍窒素区(N5)、10倍窒素区(10N)、3要素多肥:5倍窒素・リン酸・カリ区(NPK5)、10倍窒素・リン酸・カリ区(NPK10)を設定した。開花最盛期頃の半矮性素材の草丈はキタワセソバの6~7割、全重はNPK10区以外はキタワセソバの約半分であった。8月下旬に収穫した半矮性素材の標肥区および窒素多肥区の子実重はキタワセソバより僅かに高く、9月下旬収穫(遅刈)では半矮性素材の標肥区、N5、NPK5の子実重はキタワセソバよりも高かった。全試験区において半矮性素材の倒伏はキタワセソバよりも少なく、収穫指数はキタワセソバよりも高かった。これらのことから半矮性素材の子実重がキタワセソバを上回る要因として、多肥でも倒伏が少なく収穫指数の高いことにあると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
半矮性の遺伝様式が解明済みであること、近同質系統の作成はBC2F1であるが比較試験に供試できるだけの種子は確保できたこと、過去2年の肥料試験を中心とした栽培試験の収量性や窒素含量のデータを収集済みであるため。
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今後の研究の推進方策 |
矮性および半矮性の遺伝子座の表現型に対する成育反応の解明については、遺伝子座の効果を確認するためにBC2F1世代を比較試験に供試する。 半矮性系統の生育特性および栽培環境に対する成育反応の解明については、前年度の試験と同様に多肥区を設定する。生育期間中に数回サンプリングして、窒素の蓄積や収量構成要素を評価して収量の成立経過を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
窒素分析の際に当初想定していたよりも、ヘリウムガスの消費が少なかったため。 2月のソバ研究会(筑波大学)に旅費を計上していたが、招待講演となり(科研費とは別のテーマ)旅費が不要となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
圃場調査および収穫物調査のための賃金、窒素分析用ガスなどの消耗品、ソバ研究会(筑波大学)の旅費に使用する。
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