研究概要 |
弘前大学のビニールハウスにて平成26年1月~2月にかけてアスパラガスの伏せ込み栽培(グリーン、ホワイト)を光環境制御条件下(自然光区(対照区)、補光区(白色蛍光灯1,3本、24時間)、遮光条件(ホワイトアスパラ)で行いって若茎を収穫し、収穫直後の若茎の頂部表皮組織からゲノムDNAを抽出した。さらに同組織から全RNAを抽出後に逆転写を行い、cDNAを得た。ルチン生合成経路の酵素のうち、CHS, CHI, FLS, F3H, F3'H、さらに発現量の対照として用いるActinについて、北海道大学で遺伝子発現解析に用いるプライマーを設計し、上記のサンプルのゲノムDNAおよびcDNAを用いてPCRを行い、プライマーが発現解析に有効であるかを検討した。 その結果、設計したプライマーでゲノムDNAおよびcDNAで明瞭なPCR反応物のバンドが検出されたことから、ほぼ問題なく発現解析が行えることが明らかとなった。さらに、ルチンを多く合成することが知られている紫アスパラ(Purple Passion)も用いて、フラボノイド合成系の遺伝子およびアクチンの全長クローニングを試みた。現在までにactinのシークエンス解析を完了した。部分配列のみが分かっていたCHS、F3'H、FLS、ANSについては3'RACEによりC末端側の配列の決定を行い、現在5'RACEを用いて全長シークエンスの解析を進行中である。またDFRについては部分配列を決定し、紫アスパラではUC157よりDFR発現量が高いという予備試験結果(半定量PCR)を得た。これまでに得られている配列において品種間の違いをみると、CHS、CHI、F3H、FLS、ANSでは2種に違いはほとんど無かったが、F3'HではUC157とパープルパッションで違いがあった。詳細な発現解析については、これまでの知見をもとに平成26年度に本格的に行う予定である。
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