種間あるいは異なる倍数性間での交雑においては、用いる両親の組み合わせにより、雑種が得られる場合と得られない場合があることは良く知られている。雑種が得られない組み合わせにおいては、雑種胚を含む胚珠や種子を培養することにより雑種を得ることが可能となる場合がある。 申請者はこれまでに、花卉園芸品目の一つであるデルフィニウム(Delphinium L.)属を材料とし、交雑由来の胚珠や種子の培養による新たな雑種育成手法の確立に取り組み、成果をあげてきた(Honda & Tsutsui 1997 Eupytica;Honda et al. 2003 Eupytica;本多・小関 2007園学研別;本多他 2009園学研別)。 本申請課題初年度である平成25年度は、1.交雑成否の一側性および単為発生を左右する要因の解明および~平成27年度にかけては、2.後代獲得のための胚珠あるいは種子の培養に取り組んだ。交雑においてはその成否を左右する要因の一つとして、初期段階すなわち授粉~受精および種子形成に至る過程の相違が考えられる。この交雑の成否に関わり、また一側性および単為発生を左右する要因を明らかにするため、種間交雑および倍数性の異なる種・系統間での交雑を行い、受精・結果および結実の調査を行った。さらに、交雑和合性が低く種間雑種を得ることの出来ない一部の組み合わせにおいて、胚珠・胚培養を行うことにより個体を得、本申請課題二年目である平成26年度にその形質の調査を行い、新奇性のみならず、生産性や観賞価値の面からの有用性の評価を行った。本結果の一部は園芸学会平成27年秋季大会において公表した。
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