平成25年度は、夏用主要花壇苗の新花色品種育成目標の中心となるニチニチソウ(Catharanthus)の花をはじめとし、ペチュニア(Petunia)の花およびインパチエンス(Impatiens)の花における分光光度計による生花弁の吸収スペクトル測定および分光測色計による測色が終了した。この結果、本研究全体の最も基本となるデータを得ることができた。さらに、色素精製に用いる、各植物の乾燥花弁の採集も進んでおり準備段階は順調に進んでいる。その中でも、ニチニチソウの薄ピンク色の1品種から花色素の基本骨格となる新規アントシアニジンの存在の可能性が得られたので、即精製し分析した結果7-O-メチルペラルゴニジンの可能性が得られ、詳しく構造解析した結果、予想構造を証明できた。このため当初の花色発現の推定に新たな色幅が存在することが予想できた。ペチュニアでは色素の分布だけではなく、搾汁pHの測定からの花色発現への影響も調査し、現在データ整理を進めている。 次年度は、ニチニチソウの微量アントシアニンおよび主要フラボノールの構造解析およびそれらの分布パターンを調査し、花色の発現機構を体系的にまとめる予定である。さらに、ペチュニア(バカラシリーズ)のアントシアニンと花色の関係も体系的に整理し論文としてまとめる予定である。インパチエンスは花弁の採集を進める予定である。さらに、本研究で参考事例になる可能性のある他の植物においても色素情報の蓄積を行い、本研究の結果と比較しながら新花色品種育成への可能性について考察していく予定である。
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