平成25年度および平成26年度に夏用主要花壇苗の新花色品種育成目標の中心となるニチニチソウ(Catharanthus)の花をはじめとし、ペチュニア(Petunia)の花およびインパチエンス(Impatiens)の花における分光光度計による生花弁の吸収スペクトル測定、分光測色計による測色、搾汁pHの測定、花弁のアントシアニンおよびフラボノールの精製が予定通り達成できた。平成27年度は色素の精製および精製色素を用いた生花弁の吸収スペクトルの再現による発色機構の解明なども終了した。さらに、本研究で参考事例になる可能性のある他の植物においても色素情報の蓄積を行い、本研究の結果と比較しながら新花色品種育成への可能性について考察した。この結果、ニチニチソウではアントシアニジンの種類と分子間コピグメンテーションの関係により花色の赤色~青紫色までの変化が体系的にまとめられた。インパチエンスではアントシアニジンの組み合わせ、アシル化アントシアニンの比率、および総アントシアニンの量により赤色~紫色までの変化が体系的にまとめられた。そして、ペチュニアでは、これまでに知られているアントシアニジンの種類、分子内コピグメンテーションの関係、および、花冠の搾汁pHによる花色への影響の内、花冠のpHによる花色への影響が多数の品種で比較すると例外が色ごとの系統に存在することがわかった。よって、ペチュニア園芸品種における花冠の搾汁pHの値は花色の決定に重要なファクターではないかもしれないと考えられた。 以上のことから交付申請時の「研究の目的」が十分に達成されたと考えられる。今後はさらに取扱品目の多い春用花壇苗についても研究を進めていきたいと考えている。
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