研究実績の概要 |
ブドウ’巨峰’を供試して、内生ABA濃度、アントシアニン濃度および糖濃度に及ぼす青色LEDおよび赤色LED照射の影響(日の出前3時間および日没後3時間照射)を、太陽光利用植物工場を利用して、加温促成栽培条件および普通栽培条件下の2つの異なるシーズンで検討した。加温促成栽培条件下で、内生ABA濃度は青色LED照射果粒で最も高くなった。一方、普通栽培条件下では赤色LED照射のブドウ果粒で最も高くなった。ABA合成経路上の酵素遺伝子のVvNCED1およびVvCYP707Aの発現は、季節に関わらずベレゾーン期で最も高くなった。両シーズンで、アントシアニン濃度は青色LED照射区で最も高く、ついで赤色LED照射で、一方無処理区は最も低くなった。アントシアニン合成に関係する遺伝子であるVlMybA1-2, VlMybA2およびVvUFGT遺伝子の発現は、アントシアニン濃度と一致した。糖濃度は季節にかかわらず、青色あるいは赤色LED照射区で高くなった。以上の結果は、夜間の青色あるいは赤色LED照射は季節によって影響の程度は異なるものの、内生ABA、アントシアニンおよび糖代謝に影響することを示唆した。
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