研究課題/領域番号 |
25450044
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
南山 泰宏 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (00463266)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | トウガラシ / 疫病抵抗性 / QTL解析 |
研究概要 |
疫病菌株の特性評価:pph菌株を用いて遊走子密度(1.0E+3、1.0E+4および1.0E+5個/mL)と培養温度(15、20および25℃)に関して葉身接種条件の検討を行った。その結果、遊走子密度1.0E+4個/mL以上、培養温度15℃の条件で、接種後7-10日目の病斑の大きさにより抵抗性の程度を評価できると考えられた。この方法により抵抗性5品種を評価したところ、‘CM334’、‘台パワー’および‘AC2258’の3品種が‘No.10’と‘CM2M-54’よりも抵抗性が強いと推察されたが、植物体の生育環境(夏季の遮光ハウス、秋季の無加温ハウス)によって抵抗性程度に変動が認められた。一方、疫病菌株の病原性は、上述の接種条件下で与保呂系菌株、pph菌株、明石系菌株、大原野系菌株の順で病原性が強い傾向が認められたが、抵抗性品種により病原性の強さが異なる場合もあった。 新たな疫病菌株による遺伝解析集団の抵抗性評価とQTL解析:最も病原性が強いと推察された与保呂系菌株を用いて、‘CM334’と‘MDH12-33’の交配F1由来倍加半数体系統の疫病抵抗性評価を行った。接種7日目の病斑の最大径を計測し、これを抵抗性の程度としてInterval mapping法によりQTL解析を行ったところ、これまでに報告したQTLとは異なる位置にLOD値が2.0以上のQTLを2箇所検出した。しかし、2回目の反復試験ではこの2箇所のQTLは検出されなかった。 根系への疫病抵抗性評価のための簡易検定法の検討:50mLのコニカルチューブを用いて植物インキュベータ内で土壌潅注処理を用いる方法を検討した。罹病性品種‘MDH12-33’では遊走子密度104個/mLの疫病菌液を5mL処理することで全個体が枯死することを確認した。この方法により、1台のインキュベータで解析集団全ての抵抗性評価が可能であると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疫病菌株の病原性の評価において、ほぼ再現性のある結果が得られており、葉身を用いた抵抗性評価方法についても、概ね安定した手法であることが明らかとなった。 また、新たな疫病菌株を用いた疫病抵抗性評価により、新規のQTLを検出することができた。ただし、これについては再現性を確認する必要がある。 一方、根系への疫病抵抗性評価のための簡易検定法については開始したところではあるが、室内の植物インキュベータの利用の可能性が示せた。 したがって、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
葉身接種法を用いた場合、植物体の生育環境(夏季の遮光ハウス、秋季の無加温ハウス)によって疫病抵抗性評価が変動する可能性が認められた。25年度は植物材料の播種時期が遅れたために接種試験の開始が7月下旬以降となり、ハウス栽培による高温期と秋以降の低温期とトウガラシにとって良好な生育環境での試験ができなかった。26年度はトウガラシの生育適期である5-7月にかけて葉身接種検定を行えるように調整し、25年度に得られた結果の再現性を検証する。その上で、複数の疫病菌株に対するQTL解析を進める。
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