研究課題/領域番号 |
25450046
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
駒井 史訓 佐賀大学, 農学部, 教授 (10372765)
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研究分担者 |
藤井 義晴 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10354101)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アスパラガス / 連作障害 / 無菌浸出液 / 無機塩類 / カリウムイオン / 硝酸イオン / 機能性木炭 / 特異的吸着 |
研究実績の概要 |
これまでの研究から、アスパラガスの無菌実生から得られた浸出液および植物体内に特定のアニオン及びカチオンが多量に存在し、さらに、根系を断裂すると浸出液中へ放出されるそれら無機成分が増量することを把握しているため、圃場においてもアスパラガスが土壌中に無機成分を放出していると推察している。これら放出された塩類が、長期間の栽培で蓄積し、生育不良を誘起することが考えられ、このことが連作障害の根本となっていることが予想される。したがって、その成分を特異的に除去することで連作障害を軽減・回避できるかもしれず、様々な炭化剤の添加によって浸出液中の無機成分を低減することを検討したところ、国産のマングローブ炭が特定の塩を優先的に減少させることが明らかとなった。さらに、マングローブに由来する木炭の樹種・焼成温度・粒径を変えることで、無機成分をさらに吸着する資材開発を行った。 超純水に各種木炭を添加後に分析したところ、各種アニオン及びカチオンが検出され、木炭の素材となる樹種によって保持している無機成分量に差がみられた。焼成温度の違いによっても木炭が保持していた無機成分量に差がみられたが、その差は樹種による違いに比べて小さかった。さらに、粒径が浸出液中の無機成分の増減に及ぼす影響を検討した結果、粒径2~4mmの木炭を使用した時のみ特定の無機塩が減少したが、その減少量は外国産のマングローブから作製した木炭よりも小さかった。これらの結果から、木炭の作製条件のうち、樹種の違いが木炭の吸着能へ大きく影響しており、同じ樹種であっても産地や栽培環境を考慮する必要があることも推察された。また、作製した木炭は既に多くの無機成分を保持していたため、木炭に何らかの前処理を行うことでそれらの吸着能を改善できる可能性があると思われた。今後は、特定の無機成分を選択的に吸着するような「機能性木炭」を開発する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無菌浸出液中の無機塩類を増量するような、LED光源を活用した培養システムが当該年度末に構築され、やや遅れたが、GC/MS、LC/TOF/MSおよびCE/TOF/MSを駆使した代謝物の一斉解析を最終年度(平成27年度)初頭に行うことが可能であるため。
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今後の研究の推進方策 |
・特定のイオン性物質を捕捉するための「機能性木炭」を開発する ・その木炭の素材には国内産地の優占樹種を活用し、地産地消的な取り組みへと展開する ・物質の捕捉程度を明らかにするため、走査型電子顕微鏡による木炭表層の元素マッピングを遂行する ・連作障害圃場の土壌中へ投入する木炭の細粒を、撤去・回収するための技術開発へ着手する
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた成分の分析が遅れ、分析点数の減少から、ボンベ単位で購入しているガスの交換頻度が落ちたため、次年度の使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に繰り越させて頂き、速やかにガスボンベの充填・補給を行い、分析作業を進める予定である。
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