研究課題/領域番号 |
25450047
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小松 春喜 東海大学, 農学部, 教授 (60148971)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ブルーベリー / スノキ属 / 野生種 / 節間雑種 / 倍数性 / 機能性 / 戻し交雑 |
研究実績の概要 |
ブルーベリー栽培種と二倍体スノキ属野生種との節間交雑については,これまでに栽培種を母親としてナツハゼ,シャシャンボ,スノキ,コケモモ,ナガボナツハゼ,アラゲナツハゼおよびカンサイスノキ花粉の交配より種子が得られ,計53種子が発芽したが,枯死するものもみられたため,現在44系統が生存している.なお,スノキ花粉の交配より得られた4個体の実生は全て発芽後比較的短期間で枯死に至った.生存個体については,1年生実生を直ちに‘ホームベル’台に接ぎ木することにより早期育成を図り,暫時RAPD法などにより雑種検定を行っている. 8系統について調査した結果,‘リベール’×カンサイスノキより得られた1系統はDNA検定だけでなく,葉や茎などの形態的特徴から貴重な節間雑種であることが確認された.なお,採取した葉の位置により二~四倍性を示したことから,混数体であることが示唆された.また,‘ブルークロップ’×ナツハゼより得られた2系統の四倍体については,RAPD法によるDNA検定では必ずしも明確な雑種判別に至らなかったが,葉や花の形態調査から雑種と推定された.なお,残りの5系統については受粉時のコンタミによるものと推察された. 野生種の倍加系統の育成については,8種の野生種を培養し,in vitroでコルヒチン処理を行った結果,これまでにウスノキ,カンサイスノキおよびツルコケモモで多数の2x×4xの倍数性キメラおよび四倍体を誘導することに成功している. 得られた節間雑種や野生種の四倍体は,‘ホームベル’台に接ぎ木することにより早期育成を図っており,次年度以降に花や果実の調査を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 栽培種と二倍体野生種との節間交雑については,これまでに得られている30系統に加え,さらに14系統の実生を獲得し,現在計44個体の節間交雑系統を育成中である.これらはいずれも1年生実生を直ちに接ぎ木することにより順調に早期育成を図っている.また,暫時雑種検定を行っているが,現段階でも‘リベール’×カンサイスノキは貴重な節間雑種であることが確認されている. ‘スパータン’×四倍体シャシャンボ節間雑種の果実成分を分析し,節間雑種の果実では果肉にもアントシアニンが含有されていることを明らかにし,加工原料であるビルベリーに替わる食品素材を作出するための育種母本となり得るとして学会発表した. 二倍体野生種の倍加系統の作出については,これまでナツハゼやウスノキを含む5種について倍加系統を作出,育成中であるが,実際の交配には至っていない.
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今後の研究の推進方策 |
得られた節間交雑実生を早期育成し,それらの倍数性や雑種性の検定が必要である.なお,中には発芽後枯死する実生もあることから,交雑組み合わせにより救助培養も試みる必要がある.また,葉や花などの形態的特徴では節間雑種と推察されるものの,RAPD法によるDNA検定では必ずしも明瞭に雑種性の判別ができないものもあることから,SSR法を用いた雑種検定についても検討する.また,節間雑種である‘リベール’×カンサイスノキは,採取した葉の位置により倍数性が異なることから,その原因や形態的特性,生殖能力の有無などについて調査する. 二倍体野生種の倍加系統は,順化後接ぎ木することにより早期育成を図っているが,それでも育成期間が必要である.したがって,並行して二倍体野生種の非還元配偶子を利用した節間交雑を積極的に進める必要がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
本科学研究費で当初計画した国内旅費および人件費・謝金を別予算から支出することができたことによる.
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次年度使用額の使用計画 |
成分分析では,果実より抽出した液体を濃縮する必要がある.これまで使用してきた既存のロータリーエバポレータ1台が耐用年数を経過し,不具合が生じつつあるため,新たな同機種の購入に充てる予定である.
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