研究実績の概要 |
栽培種のハイブッシュブルーベリー5品種,サザンハイブッシュブルーベリー2品種およびラビットアイブルーベリー5品種に二倍体スノキ属野生種であるツルコケモモ,ギイマ,シャシャンボ,ナツハゼ,ナガボナツハゼ,アラゲナツハゼ,ウスノキ,スノキおよびカンサイスノキの計9種を交配した結果,それぞれ202,130および156粒の完全種子を得た.層積処理後,発芽した実生はそれぞれ4,4および6個体と極めて少なかったが,これまで同様1年生実生を‘ホームベル’台に接ぎ木し,育成中の44系統に加えることができた. ‘ブルークロップ’×コケモモより得られた3系統(BKo-1~3)を調査した結果,Bko-1は緑葉と斑入り葉が混在したが,他の2系統はいずれも緑葉であった.また,フローサイトメーターによる解析の結果,緑葉を示したBko-2および3の葉とBKo-1の斑入り葉は四倍体の位置に相対蛍光強度のピークが見られたのに対し,BKo-1の緑葉は三倍体の位置にピークが認められた.なお,BKo-1では,同一枝上の,中間が斑入り葉で基部と先端部は緑葉であったが,両緑葉ともに三倍体の位置にピークが認められた.DNA検定の結果,これらの3系統はいずれも節間雑種であることが確認されたが,ゲノム構成などについてはさらなる調査が必要と思われた. ツルコケモモの倍加系統は,元の二倍体と比べ樹姿が立性で,葉身長, 葉幅, 葉厚が有意に大きかった. また, 気孔が大きく, その密度は低かった. 倍加系統における葉厚および気孔の特徴は, これまでに作出された倍加系統の特徴と合致しており, 倍加系統の指標になるものと考えられた. 栽培種のブルーベリーにナツハゼの倍加系統を交配したが,元の二倍体の交配に比べ着果率や種子の獲得率向上への明らかな効果は認められなかった.
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