研究課題/領域番号 |
25450048
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
腰岡 政二 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (80094340)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ラベンダー / 低温要求性 / ジベレリン |
研究実績の概要 |
実験1および実験3は平成25年度に終了。 実験2.低温要求性獲得時および解除時におけるジベレリン(GA)メタボロームの解析(前年度からの2年間):前年度にGAメタボロームマップは活性GA1に至る早期13位水酸化経路GA53→(GA44)→GA19→GA20→GA1であること、活性GA1量は低温後の温暖条件で増加することを明らかにしているが、今年度においても活性GA1の前駆体であるGA53は低温6週目より減少すること、それに伴い、GA19は低温9週目、GA20およびGA1は低温12目より生合成され始め、その動きは低温週終了後1週目から活発になることにより、GA1が増加し開花に至ることを確認した。したがって、GA生合成の活発化が開花に繋がると判断できる。 実験4. 低温要求性獲得時および解除時におけるGA生合成酵素遺伝子とGA受容体遺伝子の発現解析(次年度までの2年間):前年度に単離したGA生合成酵素遺伝子、GA20ox、GA3ox、GA2oxは低温週終了後から発現が認められ、特に、活性GA1を生成するGA3oxの発現は発雷時に最も高く発現し花芽分化に同調した。これは、実験2の結果を裏付けるものである。一方、受容体遺伝子GID1の発現は低温開始時に高く推移したがその後の活性は低く低温週終了後も同様であった。これは、GID1の発現に用いた試料が低温終了後の温暖条件でも未分化であったことに起因していると思われた。 実験5. 低温要求性とGA感受性の解明(次年度までの2年間):GID1発現に用いた試料に対し低温終了後の温暖条件でGA処理を試みたが、十分量の低温蓄積量にも関わらず花芽分化しなかった。これは、GID1発現が十分でなければGAの効果がないことを表している。今回、十分な低温蓄積量にも関わらず花芽分化をしなかった理由として日長量の不足が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラベンダーのGAメタボロームマップは活性GA1に至る早期13位水酸化経路であること、活性GA1量の増加により花芽分化に至ることを明らかにした。GA生合成酵素遺伝子、GA20ox、GA3ox、GA2oxは低温週終了後から発現が認められ、特に、GA3oxの発現は花芽分化に同調することを明らかにした。また、GID1の発現が十分でなければGAの花芽誘導効果が現われないことを明らかにした。以上のように、平成26年度の研究実施計画を計画通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
実験4、実験5および実験6を実施する。 実験4. 低温要求性獲得時および解除時におけるGA生合成酵素遺伝子とGA受容体遺伝子の発現解析(平成27年度までの2年間):実験3で単離したGA生合成酵素遺伝子およびGA受容体遺伝子をプローブとして用い,低温要求性獲得時および解除時におけるこれら遺伝子の発現解析を行い,実験2での内生GAの動態とあわせて花芽分化との関わりを考察する。 実験5. 低温要求性とGA感受性の解明(平成27年度までの2年間):これまでの研究から低温蓄積量不足株ではGA処理による低温の補完が可能であるが,低温蓄積量充足株ではGA処理の効果が認められないことから,GAに対する細胞感受性が変化するものと考えた。そこで,内生GAメタボロームの解析(実験2)とGA生合成遺伝子およびGA受容体遺伝子の発現解析(実験4)から,GA処理および低温処理により花芽を誘導するGA量およびGA受容体量の閾値について明らかにする。 実験6. 低温要求性制御による開花促進技術の検討(平成27年度) 先の2年間でラベンダーの花芽誘導促進に直接的に関わる低温要求性獲得および抑制機構とGAメタボロームおよびGA受容体とその閾値が明らかとなっていることから,環境調節やGA誘導体あるいはGA生合成酵素活性阻害剤を用いてGA感受性を制御することにより,花卉生産現場での利用を想定した開花調節技術の開発を試みる。
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