研究課題/領域番号 |
25450049
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
神崎 真哉 近畿大学, 農学部, 准教授 (20330243)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 花成誘導 / マンゴー / FT遺伝子 |
研究実績の概要 |
これまでに、マンゴーでは、FT(flowering locus T)遺伝子の葉における発現が低温によって誘導されることにより、花成惹起をもたらすことが示されている。本年度は、低温以外の花成誘導条件としてエスレル処理と乾燥ストレスがFT遺伝子の発現および花芽形成に及ぼす影響を調査したが、低温以外の条件ではFT遺伝子の発現は誘導されず、花芽形成も確認できなかった。供試した品種’Irwin"においては低温が最も有効な花成誘導条件であると考えられる。 また、’Irwin'において花成誘導に必要な低温積算時間を検討した。春先(4月中旬~5月上旬)と秋(10月中旬~11月上旬)に温室外に置いた樹におけるFT発現量の変化を調査したところ、15℃以下(5℃以上)の低温におよそ400時間遭遇するとFT遺伝子の発現量が増加し、その後花成が惹起されることが示された。 一方、昨年の実験で先端第一節の新しい葉におけるFT遺伝子の発現量が先端第二節の古い葉より多いことが示されたが、本年度の実験では逆に先端第二節の葉における発現量が第一節の葉より高く、新葉を除去すると花成誘導率も高くなることが確認された。栽培現場でも新葉を除去して花成を促す試みがなされることがあるが、その効果は安定していないとされている。また、同一樹内でも葉によってFT遺伝子発現量に大きな差がみられることも明らかとなった。FT遺伝子発現量と葉齢の関係については、より詳細に検討する必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、エスレル処理や乾燥ストレスが’Irwin’のFT遺伝子発現および花成の誘導に有効でないことを示すとともに、低温による花成誘導に必要なおおよその低温積算時間を明らかにすることができた。一方、葉齢とFT遺伝子発現との関係については、昨年と異なる結果が得られており、さらに検討が必要である。また、FT以外の花成関連遺伝子の単離が進んでいないため、達成度については「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
①引き続き、FT以外の花成関連遺伝子の単離を進める。'Irwin'のような低温要求型品種だけでなく、非低温要求型品種からも遺伝子の単離を試みる。ゲノムライブラリーから周辺領域も含めて単離し、品種間で比較する。 ②葉齢とFT遺伝子発現量との関係を詳細に調査する。また、同一樹内においてFT遺伝子の発現量に差が生じる原因を明らかにする。
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