日本には2種のブドウさび病菌が分布し,ヤマブドウで2種が重複感染していた.分子系統解析の結果は熱帯アジアのブドウさび病菌が新分類群であることと地理的分布の異なる3菌群で構成されていることを示した. アメリカの2種のブドウさび病菌はメキシコ湾岸に沿った狭い地域を境に分布を違えていた.分子系統解析の結果,これら2種は近縁でツタ,アワブキおよびミヤマハハソに寄生するサビキンと同一のグループに含まれることが明らかとなった.いっぽう,東アジアおよび東南アジアのブドウさび病菌は近縁であるが,アメリカのブドウさび病菌とは系統的に遠く,東アジアに分布するツタさび病菌と直近の祖先を共有することを推定できた.
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