研究課題/領域番号 |
25450069
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
天野 洋 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00143264)
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研究分担者 |
大山 克己 千葉大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20456081)
渋谷 俊夫 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (50316014)
平井 規央 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (70305655)
鈴木 丈詞 茨城大学, 農学部, 研究員 (60708311)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境シミュレーター / 気候環境 / 気候変動 / ハダニ / 天敵カブリダニ / 害虫管理 / 休眠 |
研究概要 |
初年度は気候変動シミュレーターの開発と改善に主たる焦点を絞って、茨城大学と千葉大学が主導して試作機の完成を目指した。本課題以前に試作したプロトタイプでは、冷却器の駆動に伴うシミュレータ内の結露ならびに除湿の影響が大きく、高湿度域の環境が再現されない問題があった。そこで、熱伝導率が高いアルミ製チャンバ(上部のみ透明アクリル)をシミュレータ内に設置し、湿度制御をチャンバ内の空気のみに制限する改良を試みた。過去20年(1981-2000)の平均時別データをシミュレートしたところ、ほとんどの温度域・湿度域・日長で誤差の少ない環境が再現できた。本シミュレータによって、ほぼ任意の野外の変動環境を再現できることが示された。この成果により、シミュレータは例えば農業分野では、①作物栽培現場の変動環境を反映した病害虫発生予察や化学・生物農薬の評価、②外来生物の環境適応による定着リスク評価、③将来的な気候変動が与える作物栽培および病害虫被害予測などに活用できる。 作製されたシミュレーターは各研究分担者の所属する機関に設置されて、現在多くの実験が進められている。例えば、京都大学では天敵カブリダニの(実際の日本各地での気象をミミックした)低温条件下での生存率や生殖能力を検証している。茨城大学では有害ハダニ類の休眠特性に与える、日本各地の冬期環境条件の影響を検証している。大阪府大では、文献等により本州周辺での南方系害虫の発生状況を調査した後に、ハダニ類、アブラムシ類に加えて、ハイマダラノメイガ、シロイチモジヨトウ、ハスモンヨトウ、チャトゲコナジラミ等の害虫の発生や分布拡大の問題に対応すべく、開発した気候変動シミュレーター内での飼育を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の本年度計画で提起されていた、主要2項目(シミュレータの改善機の制作、ハダニを材料とした休眠特性)は両項目ともに修了または現在進行中となっているため。
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今後の研究の推進方策 |
完成されたシミュレータは各分担者の所属する機関に配備されたので、これを使って異なる材料(ダニ類、昆虫類)で、計画通り行動学的実験を主とした加害実態や天敵類の捕食行動を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験材料と実験器具の一部が、発注遅れや器具の品切れなどによって配送が遅れる事が分かり、その部分を平成26年度早々に入手する事とした。 材料や器具の手配はすでに整っており、平成26年度4月または5月に配送手配をしている。従って研究計画に大きな支障はない。
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