土着天敵メスグロハナレメイエバエについて、さらなる飼育方法の改善を行い、採卵のために30cm立方の成虫飼育ケージ内に、湿らせたワイピングクロスをシャーレに入れ、24時間後に回収する方法を用いた。そのワイピングクロスに産下された卵を脱イオン水を入れたビーカー内で洗うと、卵がビーカーの底に沈むので、それをプランクトンネットで濾過することで卵のみを集めることができ、異なる温度で飼育することで必要な時期に必要な孵化幼虫を得ることが可能になった。一方、従来通りの飼育方法でココヤシ繊維の培地で幼虫期を過ごし,蛹化した蛹は,培地を水で溶くと水面に浮上してくるので、蛹についても必要数を容易に集めることができるようになった。 また、メスグロハナレメイエバエ幼虫の飼育時の餌としてチビクロバネキノコバエ幼虫が,成虫の餌として同種成虫が利用できると考え、チビクロバネキノコバエの室内飼育を試みた結果、メスグロハナレメイエバエ同様ココヤシ繊維とブラインシュリンプ耐久卵で飼育可能であることが分かり、チビクロバネキノコバエの防除への研究への発展性が期待された。 ギルド内捕食を調べるために、メスグロハナレメイエバエ成虫に対して土着天敵のクロヒョウタンカスミカメ、タバコカスミカメを与えたところ、容易に捕食したので、これら土着天敵の同時利用にはギルド内捕食に注意する必要が考えられた。 キュウリ栽培のビニールハウスにおいてメスグロハナレメイエバエによるタバココナジラミの防除の可能性を検討するために放飼試験(1回放飼)を行ったところ、放飼後2週間は無処理区に比べてタバココナジラミの成虫密度の低下が認められたが、その後は密度の差は認められず、複数回放飼が必要であると思われた。
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