イネ科植物ウイルスは吸汁性昆虫であるツマグロヨコバイに媒介され、イネに感染し、収量低下などを引き起こす。そこで、ウイルスがツマグロヨコバイの培養細胞に感染、増殖するために必要な因子を明らかにすることを試みた。その結果、Hsp70の阻害剤であるケルセチンを培養細胞に処理した際にはイネ萎縮ウイルスまたはrice gall dwarf virusの感染、増殖率が顕著に低下した。そこでHsp70をコードすると思われた宿主遺伝子の発現を阻害し、ウイルスを接種したところ、感染、増殖が低下した。この結果から、Hsp70遺伝子の発現がウイルスの昆虫細胞への感染増殖に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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