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2014 年度 実施状況報告書

セルフクローニング技術を用いた根粒菌共生遺伝子利用のための基盤的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25450085
研究機関香川大学

研究代表者

田島 茂行  香川大学, 農学部, 客員教授 (50116894)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード共生窒素固定 / 根粒老化 / マメ科植物 / 遺伝子応答 / RNAseq / マイクロアレー / トランスクリプトーム解析 / 植物微生物相互作用
研究実績の概要

平成26年度においては、交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」に記載したとおり、ミヤコグサ菌、ダイズ菌に存在するGS1遺伝子、及び他の共生特異的遺伝子が、根粒の形態形成、特に根粒形成後期の根粒形態、機能に与える影響を解析した。特に本年度はGS1遺伝子欠損の影響が根粒の老化現象に与える影響を、老化組織が顕著に確認できる以前の現象から遺伝子レベルで解析しようとした。そこでミヤコグサ根粒組織特異的に発現する遺伝子群をRNAseq実験によって大規模に解析し、そこで確認できた遺伝子データを用いて、発現しているすべての遺伝子について、遺伝子特異的塩基配列デザインを作成した。このデータを用いて約20,000遺伝子を貼り付けたオリゴヌクレオチドマイクロアレーを作成し、トランスクリプトーム解析実験を行った。その結果、従来の報告にない、発現レベルの差が少ない遺伝子についても遺伝子発現の差を確認できた。根粒老化に伴って発現が増幅する遺伝子は642個、減少する遺伝子は415個であった。これらの遺伝子発現をクラスター解析し、発現パターンを4つに分けた。これらの遺伝子群の性質を検討したところ、植物防除系遺伝子、代謝系遺伝子、器官形成系遺伝子などがあり、従来報告されている典型的老化関連遺伝子も含まれていた。この結果は、Plant Biotechnology誌に発表した。また関連学会でも発表した。
根粒菌の効率的なセルフクローニング技術についてはプロトコールを改良中であり、根粒菌側のGS1やcatalase遺伝子の欠損などが、マイクロアレーで解析した植物側老化関連遺伝子群の、どの遺伝子発現を制御するのかも含めて解析していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度においては、交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」に記載したとおり、根粒菌(ミヤコグサ菌、ダイズ菌)に存在するGS1遺伝子、及び他の共生特異的遺伝子が、根粒の形態形成、特に根粒形成後期の根粒形態、機能に与える影響を解析した。平成26年度は根粒菌遺伝子の影響が根粒の老化現象に与える影響を、老化組織が顕著に確認できる以前の現象から遺伝子レベルで解析しようとした。そこでミヤコグサ根粒組織特異的に発現する遺伝子群をRNAseq実験によって大規模に解析し、そこで確認できた遺伝子データを用いて、効率的なマイクロアレー実験に成功した。この結果は新規であり、根粒菌の窒素固定活性維持のための代謝系を明らかにする上で重要な貢献である。研究は順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

平成25, 26年度の研究においては、根粒形成後期の根粒形態、機能に与えるGS1などの根粒菌側遺伝子の影響を解析するとともに、RNAseq、マイクロアレーの技術を用いて根粒老化に関与すると思われる植物側遺伝子群を網羅的に解析した。平成27年度は作成したマイクロアレーを用いて、GS1根粒菌遺伝子欠損及び大量発現の影響が根粒の老化現象に与える影響を、根粒組織形成初期から遺伝子レベルで解析する。重要と考えられる遺伝子群については、根粒菌をセルフクローニング手法で形質転換し、ミヤコグサ生育時期全般にわたる効果を検討する。

次年度使用額が生じた理由

遺伝子発現解析のために各種分子生物学試薬を購入予定であり、それを次年度に延期した。

次年度使用額の使用計画

根粒菌及び植物側遺伝子発現解析を購入予定の分子生物学試薬を用いて行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Peribacteroid solution of soybean root nodules partly induces genomic loci for differentiation into bacteroids of free-living Bradyrhizobium japonicum cells2015

    • 著者名/発表者名
      1.Ohtsu, N, Ichida, S, Yamaya, H, Ohwada, T, Itakura, M, Hara, Y, Mitsui, H, Kaneko, T, Tejima, K, Tabata, S, Saeki, K, Omori, H, Hayashi, M, Maekawa, T, Murooka, Y, Tajima, S, Simomura, K, Agarie-Nomura, M, Uchiumi, T, Suzuki, A, Shimoda, Y, Abe, M, Minamisawa, K, Arima, Y, Yokoyama, T.
    • 雑誌名

      Soil Science and Plant Nutrition

      巻: 61 ページ: in press

    • DOI

      10.1080/00380768.2014.994470

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Transcriptomic profiles of nodule senescence in Lotus japonicums and Mesorhizobium loti symbiosis2014

    • 著者名/発表者名
      Chungopast, S., Hirakawa, H., Sato, S., Handa, Y., Saito, K., Kawaguchi, M., Tajima, S., Nomura, M.
    • 雑誌名

      Plant Biotechnology

      巻: 31 ページ: 345-349

    • DOI

      10.5511/plantbiotechnology.14.1021a

    • 査読あり

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公開日: 2016-05-27  

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