研究課題
畑土壌にN-アセチルグルコサミン(以下、キチン単糖、とする)、N,N'-ジアセチルキトビオース(以下、キチン二糖、とする)、あるいはキチンを加えて培養し、継時的に採取した土壌について、微生物数、無機態窒素濃度、キチン分解酵素活性,および、細菌と糸状菌の群集構造を調べた。土壌中のキチナーゼ活性は、キチン単糖添加で変化しなかったが、キチン二糖あるいはキチンの存在下で上昇した。キチン二糖を添加した場合の方がキチンを添加した場合よりも、キチナーゼ活性の上昇時期が早かった。。一方、N-アセチルグルコサミニダーゼ活性はキチン単糖,キチン二糖、キチンのいずれの添加によっても上昇したが、キチン単糖添加時の活性はキチン二糖添加時の約半分であった。キチン単糖や二糖を添加した場合の方が、キチンを添加した場合よりも早い時期に活性の上昇が認められた。これらの結果から、キチン二糖は、キチンと同様に土壌中のキチナーゼとN-アセチルグルコサミニダーゼの活性を高める効果があることがわかった。また、その効果はキチン添加時よりも短時間で現れることが明らかとなった。一方、キチン単糖は試験土壌中のN-アセチルグルコサミニダーゼ活性は高めるが、キチナーゼ活性は高めないことがわかった。細菌数(cfu)は、キチン単糖やキチン二糖を添加した場合、キチン添加時よりも早い時期に増加した。キチン単糖や二糖は、キチンよりも速やかに微生物分解を受けたと考えられる。糸状菌数(cfu)はいずれの糖質を添加しても大きく変化しなかった。キチン単糖や二糖は、キチン同様,糸状菌増殖低減効果をもつことが期待される。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
Soil Science and Plant Nutrition
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