土壌微生物の多くは,多糖を細胞外で二糖にまで分解し,生じた二糖は多糖分解酵素の生産を誘導する。しかしながら,二糖を多糖分解の鍵物質とすることの生態的意義は不明である。本研究は,土壌での多糖分解における二糖生成・消失の意義を解明し,利用することを目的として行った。具体的には,キチンをモデル多糖とし,キチンやその分解物である単糖や二糖を土壌に添加し,物質動態と微生物群集構造や土壌酵素活性の変化を調べた。その結果、添加する糖質の鎖長(単糖、二糖、多糖)によって、土壌中のアンモニア窒素濃度、微生物数、および土壌酵素活性の増減パターンが異なることが明らかとなった。
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