枯草菌Marburg 168株は、SP10ファージ耐性に関与する遺伝子として、nonAとnonBという二つの遺伝子が同定されていた。nonAは蛋白質(72アミノ酸)として機能していた。nonA遺伝子の発現には、SP10ファージ感染時に発現されるSP10ファージ由来のシグマ因子が関与していた。nonAを持つ株ではSP10ファージ感染後、ファージ遺伝子の初期産物の転写は正常に見られたが、キャプシド蛋白質などの感染後期で発現するファージ蛋白質の蓄積が阻害されていた。また、ファージ非感染細胞でNonAの発現を誘導すると呼吸活性が低下し、増殖が停止した。これらの結果から、枯草菌の増殖能を阻害することにより、不稔感染を成立させていることが示唆された。
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