研究課題
出芽酵母前胞子膜形成過程におけるリン脂質代謝制御機構とその役割を解明するため、以下の研究を行った。1 昨年度までに得られた結果より、PI4Pのレベルを下げることにより、前胞子が伸長するという、今まで考えられていたのとは逆の、新たなモデルをたてている。しかしながら、一般に使われているPI4Pマーカーでは、前胞子膜上でのPI4Pレベルの変化を検出することができていなかった。そこで、既存の2種類のPI4Pマーカーをタンデムに結合させることにより、新しいPI4Pマーカーを作製し、これを用いて前胞子膜上のPI4Pレベルの変化を可視化することに成功し、モデルをさらに支持する結果を得た。2 前胞子膜上のPI4Pの量の変化に局在が影響を受ける因子の候補としてSNAREタンパク質やエンドソーム系タンパク質が考えられたので、各種マーカーについて、SPO73遺伝子の破壊の局在への影響を調べた。SNARE系の因子の中に、SPO73遺伝子の破壊により、前胞子膜に強く局在化するなる因子が見出された。このことから、輸送小胞の融合に関与する因子のリサイクリングが、Spo73に依存しており、その回復のために前胞子膜上のPI4Pレベルの低下が必要なのではないかと推測された。3 PP1の関与する膜伸長の系とSpo73およびPI4Pの関与する膜伸長の系の関係を明らかにするため、遺伝学関係を調べた。その結果、この2つの経路は独立に前胞子膜伸長に寄与していることが明らかになった。
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mSphere
巻: 1 ページ: 00038-15
doi:10.1128/mSphere.00038-15.
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/biological-chemistry/seika_ronbun/seika_koubo/index.html#link_lnav