研究課題
出芽酵母の高温耐性の改良については、49℃でも旺盛な生育を示す酵母Hansenula polymorphaのゲノムDNAを導入し3回目のゲノムシャフリングを行った。2ndゲノムシャフリング株が生育できない43℃条件でスクリーニングを行なったところ、耐性株を得ることができなかった。スクリーニング条件を検討したが、耐性株を得ることはできなかった。従って、本研究における出芽酵母の高温耐性の改良は42.5℃まで成功し、従来の出芽酵母では発酵がほとんど無理なこの高温条件において、生産収率90%以上でエタノールを生産できる優秀な酵母株を開発することに成功した。一方、高温耐性を示すがエタノール生産性が低い酵母H. polymorphaのエタノール高生産株のスクリーニングも行い、優良株を1株得た。高温条件でのキシロース発酵を可能とする酵母株の開発を目指して、高いキシロース発酵性を示すが高温耐性が低い酵母Spathaspora passalidarum をホストにして、ゲノムシャフリングにより41℃の高温条件でもキシロース培地で生育可能な耐性株を得た。ホスト株では生育・発酵がほとんど進まない40℃条件で発酵試験を行ったところ、グルコースおよびキシロース培地から50%以上の収率でエタノールを生産する株を開発することに成功した。加えて、コドン最適化したキシロース発酵遺伝子(XI-XK系)発現カセットを構築し、上述の42.5℃耐性出芽酵母ゲノムシャフリング株に導入して、キシロース発酵性の改良を進めた。発酵阻害物質の1つである乳酸に対する耐性付与遺伝子を過剰発現させ、乳酸存在下でのエタノールの生産性向上に成功した。本研究では、バイオエタノール生産の効率化・低コスト化に重要となる高温耐性・エタノール高生産性酵母の育種に成功し、今後のさらなる菌株プラットフォーム開発に貢献すると期待される。
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J. Biosci. Bioeng.
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