研究課題/領域番号 |
25450105
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏和 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80462696)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ジオバチラス / 活性スクリーニング / 好熱菌 / ゲノムライブラリー |
研究概要 |
まずG. kaustophilusの制限修飾系を網羅的に破壊した株MK244を構築した.つづいて好熱菌B. caldolyticus DSM 405とG. subterraneus DSM 13552のゲノムライブラリーをE. coli-GeobacillusシャトルプラスミドpUCG48Tと大腸菌DH5aを用いて構築した.得られた大腸菌宿主ライブラリーから,pUCG48TライブラリープラスミドをG. kaustophilus MK244に接合伝達を用いて導入した.得られたMK244宿主ライブラリーを用いて,ウラシル生合成遺伝子pyrFを活性スクリーニングしたところ,推定pyrF遺伝子を含むDNA断片がいずれのライブラリーからも首尾よく得られた. つづいて土壌試料をLB培地に接種し,高温培養した.培養された未知好熱菌からDNAを調製し,上述した工程を経て,G. kaustophilus MK244を宿主としたライブラリーを構築した.当該ライブラリーからpyrF遺伝子を活性スクリーニングしたところ,やはり推定pyrF遺伝子を含むDNA断片が首尾よく得られた.本DNA断片に含まれるpyrF遺伝子は大腸菌内では機能しなかったことから,G. kaustophilusを宿主としたライブラリーは,少なくともGeobacillus属細菌もしくはBacillus属細菌に由来する遺伝子の活性スクリーニングに有用と考えられる. G. kaustophilus MK244はフルクトース,セルロース,ラクトース,キシラン,およびガラクトマンナンを唯一の炭素源として資化できない.そこで,これら炭素源を資化できる好熱菌のゲノムライブラリーを上述した手法にしたがい構築し,MK244株にこれら糖源の資化能を付与するDNA断片をスクリーニングした.各スクリーニングにおいて生育クローンが得られたが,それらが保有するプラスミドは全て挿入DNA断片を欠失していた.プラスミドが小型化したため,維持に要するエネルギーが減少し,生育速度が上昇したため,このようなクローンが得られたと思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
G. kaustophilusを宿主とした好熱菌ゲノムライブラリーを構築し,モデル実験として未知好熱菌pyrF遺伝子の活性スクリーニングにも成功した.これは当初計画において期待したとおりの研究成果であるため,研究進捗は順調と判断できる.しかし,本来の目的である糖質分解酵素遺伝子のスクリーニングは達成されておらず,平成26年度において計画していたメタゲノムスクリーニングに着手できない状況にある.本点については平成26年度に新たな宿主ベクター系を構築することで,解決できると見込んでおり,以上を総じておおむね順調と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度 別研究課題において,高温機能性クロラムフェニコール耐性遺伝子を創出した.本遺伝子は,大腸菌とG. kaustophilusのいずれにもクロラムフェニコール耐性を付与できるため,これを用いればE. coli-Geobacillusシャトルプラスミドを小型化できると見込める.またpUCG48Tは自律複製プラスミドであるため長鎖DNAの維持には向かなかったが,染色体挿入型のインテグレーションベクターに変更することで,長鎖DNAの安定維持が容易になると期待している.そこで平成26年度では,まず高温機能性クロラムフェニコール耐性遺伝子を選択マーカーとしたインテグレーションベクターを新たに構築し,それを用いたライブラリー構築ならびに活性スクリーニングを検討していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画では,構築ライブラリー規模を上げるために,卓上遠心機を1台(260,000円見込み)購入する予定であったが,創意工夫の結果,ライブラリー構築の効率が飛躍的に向上し,大量の培養液を用いることなくライブラリーの有効規模数を向上させることができた.そのため卓上遠心機を中止し,15万円ほどの繰越金が生じた. 研究計画を変更して新たなプラスミドの構築を行う必要があるため,それに要する消耗物品の購入に繰越金を使用する.平成26年度請求分の助成金に関して,使途変更はない.
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