研究概要 |
本研究は陸上生態系における分解者として多様な有機物の分解と元素循環の役割を担う土壌に棲息する土壌動物と土壌細菌の関連性に着目し、それらの未知の相互作用(共生)の発見を目指すと共に、土壌動物やそれらの排泄物を分離源とした細菌の分離培養を試み、新規な微生物バイオリソースの開発を目指すものである。 平成25年度は、サクラ落葉を摂食した土壌動物Armadillidium vulgareの排泄物から分離した新規な細菌5株について、微生物バイオリソースとして活用できるよう理化学研究所バイオリソースセンターの微生物カルチャーコレクション(JCM)に寄託し、保存と菌株公開を行った(菌株番号 JCM 18996~JCM 19900)。これら菌株の16S rRNA遺伝子配列解析の結果、既知の類縁種基準株の配列と95~96%の相同性を示し、新種または新属の可能性が示唆された。また、これらのうち3株(Paenibacillus sp. JCM 18996, Conexibacter sp. JCM 18997, Silvimonas sp. JCM 19000)についてはドラフトゲノム配列の解析を行い、得られた配列データを公開した。それぞれのBioProject IDはPRJDB908, PRJDB910, PRJDB911である。現在ドラフトゲノム配列データの解析を進めている。 また、土壌動物の採取にあたり使用するツルグレン装置と実体顕微鏡をセットアップし、土壌動物の観察とデータ解析の準備を整えた。Armadillidium vulgareの排泄物の大量調製と小型土壌動物の抽出、微生物群集解析及び新規微生物の分離培養解析を次年度に行う。
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