研究課題/領域番号 |
25450122
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
能木 裕一 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 技術副主幹 (70399559)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ハオリムシ / 共生菌 / 難培養微生物 |
研究概要 |
本研究の目的は、今まで分離・培養できなかったハオリムシ(深海生物)の細胞内共生微生物を分離・培養する事である。その分離・培養手法を用いて難培養微生物の単離する事である。 初年度は採取したサガミハオリムシから細胞内共生菌を単離するために幾つかの条件検討を行った。その結果、細胞内から共生菌を単離する事に成功した。方法の概略は殻から取り出したハオリムシ栄養体を一定時間のエタノール処理、薬剤処理を行う事により生体表面に付着した菌の除去に成功し、細胞内共生菌の一部を死滅させない条件を見いだした。表面処理を行ったハオリムシ栄養体を無菌的に開き細胞を取り出し細胞内の共生菌を破壊しない程度に軽く物理的破砕を行い、バッファに懸濁した。この懸濁液から微弱電流を用いた細菌分離法(小山らの方法)を使用し共生菌を生きたまま電極に吸着回収する事に成功した。分離細菌に関しては16SrRNA遺伝子解析により共生菌であることを確認した。 この分離株について各種培地、培養条件にて至適培養条件の検討を行った。その結果2種類の培地・培養条件で、初期培養に成功し菌の増殖が確認された。しかし、培養条件は非常に繊細で僅かな違いでも増殖させることが出来なくなった。現在、継代培養が安定して行える条件を検討している。 今後、新鮮なハオリムシが入手困難になる可能性がある。その場合、冷凍保存してあるサンプルを使用する。しかし、単離できる共生菌の量が減る可能性があり今後の進行に影響が出る可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画はハオリムシから細胞内共生菌のみを単離する事と培養条件を検討する事であった。現在、ハオリムシ細胞内共生菌を生きたまま、それ以外の菌を除菌する方法を見いだす事に成功し、一つ目の課題はクリアした。 この分離株について増殖させる条件を検討中であるが、ある程度の必要条件は得られてきている。 以上によりほぼ計画通りに進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
細胞内共生菌の単離法までは確立できているので、当初の計画通り引き続き培養法の検討を行う。 今後、新鮮なハオリムシが入手困難になる可能性がある。その場合、冷凍保存してあるサンプルを使用する。しかし、単離できる共生菌の量が減る可能性があり今後の進行に影響が出る可能性はある。研究計画はそのような場合もある程度予想しており、多少の遅れは出ても研究が止まることは無い。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、計画していた培養装置の一部を別予算で購入したため、必要な培養実験は行えている。現段階では培養条件が確定できていないので培養装置一式を購入する必要が無い。研究の進行によって今後購入する予定である。 菌の培養条件が確定ししだい、安定培養するために培養装置一式を購入する。また、本年度分の経費は分離菌株の培養に使用する培地成分や同定等の試薬は高額であり計画通り使用する。
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