研究実績の概要 |
「研究期間全体を通じて実施した研究の成果」 植物遺伝子のcGMP/NO応答機構を転写レベルで解析した。光により発現が誘導されるダイズ・カルコン合成酵素(CHS)多型遺伝子の比較とプロトプラストを用いる一過的発現解析により、プロモーター中のUnit I配列をcGMP応答性シス配列として同定した。Unit I配列はNO応答能を持たなかった。また、フラボノイド合成に関与するMYB176はcGMP応答に関与しなかった。 NOとcGMPによって発現が調節されるシロイヌナズナの遺伝子を多数見出した。そのうち、ニコチアナミン合成酵素遺伝子1(AtNAS1)のプロモーター解析を行い、NO応答に必要かつ十分な配列(NO-responsive element, NORE)を同定した。大腸菌で発現・精製したAtGT-1がこのNOREに強く結合することを示し、結合に必要な塩基を同定した。また、AtGT-1のS-ニトロシル化による調節が示唆された。 以上のように、cGMP応答に関してはUnit I配列がcGMP応答性シスエレメントであることを明らかにし、NO応答に関してはNO応答配列(NORE)を同定すると共にAtGT-1がNORE結合因子であることを明らかにした。今後はUnit Iに結合する転写因子とNOにより発現誘導されAtGT-1と相互作用する核タンパク質の同定を引き続き行う計画である。 「最終年度に実施した研究の成果」 シクロヘキシミドを用いた解析により、NOによるAtNAS1の発現誘導には、NOによりde novo合成されるAtGT-1以外の未知タンパク質を必要とすることを明らかにした。DNAマイクロアレイ分析と一過的発現解析によりNOにより発現が2倍以上に誘導されるいくつかの未知タンパク質の候補遺伝子を見出した。
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