研究課題
培養脂肪細胞の異なるステージでの脂肪細胞形成に対する、別名、プロスタグランジン(PG)I2と呼ばれるプロスタサイクリンの特異的な作用を解明することを試みた。アラキドン酸(AA)とその関連物質のプロスタノイド類は、培養条件やライフステージより複雑な作用を及ぼす。ここでは,3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)を含まない条件での分化誘導期における培養3T3-L1前駆脂肪細胞を外因性のAAで前処理したときの成熟期の脂肪蓄積に対する効果を検討した。このアラキドン酸による前処理は、脂肪細胞形成の遺伝子マーカーの発現の亢進で明らかなように、成熟期の脂肪細胞形成を有意に促進した。このAAでの前処理の促進効果は、シクロオキシゲナーゼ (COX) 阻害剤を共存させることにより抑制された。外因性のプロスタノイドやその関連物質のなかで、PGI2のIP受容体に選択的なアゴニストであるMRE-269は、脂肪細胞での脂肪蓄積を著しく促進した。従って、これらの結果より、IBMXのない条件で分化誘導期に培養前駆脂肪細胞をAAで前処理したときの成熟期後の脂肪細胞形成に対する促進効果において、内因性PGI2の主要な役割を示唆した。以前に、我々は、成熟期の培養脂肪細胞がPGI合成酵素とプロスタノイドIP受容体の遺伝子発現の正の調節作用により、プロスタサイクリンとも呼ばれるPGI2を生合成する能力を持つことを示している。いかにプロスタサイクリンが脂肪細胞形成を制御しているかを解明するために、培養脂肪細胞の成熟期における脂肪蓄積に対するプロスタサイクリンとIP受容体の特異的アゴニストもしくはアンタゴニストの効果を探究して、その細胞内機構を解明した。
2: おおむね順調に進展している
脂肪細胞の分化誘導や成熟過程に関与するプロスタサイクリンやIP受容体の作用に関して、新規の知見を得て論文発表に至っている。
現在、行っている研究を推進して、より一層、発展させる。
2015年末の段階で、動物培養細胞などの実験が進行しており、試薬類を確保する必要があった。
残りについては、今後も、脂肪細胞の培養や遺伝子発現の関連研究で、使用する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
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