研究課題/領域番号 |
25450134
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
加藤 康夫 富山県立大学, 工学部, 教授 (20254237)
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研究分担者 |
荻田 信二郎 富山県立大学, 工学部, 准教授 (50363875)
野村 泰治 富山県立大学, 工学部, 講師 (40570924)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 植物培養細胞 / タケ / 二次代謝産物 / フェニルプロパノイド / ポリアミン / 代謝改変 |
研究実績の概要 |
申請者らのこれまでの研究によって、タケ培養細胞の増殖性ならびに代謝能は培地に添加する糖類および植物ホルモンの種類や濃度によって大きく変動することが明らかになっている。これまで、ハチクH4細胞を木化条件(BA10μM添加)下で懸濁培養したときに細胞内に多量に蓄積する主要未知代謝産物を見出し、各種分光学的手法によりferuloylputrescine (FP) と同定した。FPは、feruloyl-CoAが、ポリアミン生合成経路においてagmatineより後に生成するputrescineと縮合することで生合成されていると考えられる。この結果から、ハチクH4株懸濁培養細胞は木化条件下でフェニルプロ パノイド系およびポリアミン系化合物の生合成能に長けていることが分かり、その代謝flux改変による有用物質の生産系のモデルとして有効であることが明らかとなった。 今年度は、FPの生合成中間体を良好な基質とする二次代謝生合成酵素を導入遺伝子候補として合理的に選出し、導入することで組換えタケ細胞を創出することを試みた。導入遺伝子として、F-CoAとPutの生合成中間体であるagmatine (Agm)の縮合反応を触媒するオオムギ由来のagmatine coumaroyl transferase (ACT) 遺伝子を選抜した。ACT遺伝子をpIG121バイナリーベクターに組み込んだものを作成し、遺伝子銃にてハチク培養細胞株に導入後、安定して増殖する組換えセルラインを選抜した。組換えハチク培養細胞株について詳細に代謝物解析を行ったところ、予想通り細胞内には代謝フロースイッチングによって生成したp-coumaroylagmatine (pCA)とferuloylagmatine(FA)が著量蓄積する一方、pCPやFPの蓄積量は顕著に減少していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、FPの生合成中間体を良好な基質とする二次代謝生合成酵素を導入遺伝子候補としてオオムギ由来のagmatine coumaroyl transferase (ACT) 遺伝子を合理的に選出し、導入することで組換えタケ培養細胞を創出することを試みた。組換えハチク培養細胞株について詳細に代謝物解析を行ったところ、予想通り細胞内には代謝フロースイッチングによって生成したp-coumaroylagmatine (pCA)とferuloylagmatine(FA)が著量蓄積する一方、pCPやFPの蓄積量は顕著に減少しており、申請者らが目指している合理的代謝フロースイッチングが正しく機能していることが証明された。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、前年度創出された組換えタケ培養細胞を様々な条件下で培養し、合理的代謝フロースイッチングにより新たに生産された二次代謝産物の蓄積量の向上を目指す。また、ジャーファーメンターを用いた大スケールでの培養を行い、実用化をにらんだ諸条件の最適化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状虚により執行予定物品の購入が次年度へと持ち越しとなっているため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度中には計画通り使用する予定
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